令和3年7月14日、中央最低賃金審議会の目安に関する小委員会において、注目を集めていた令和3年度の地域別最低賃金の改定の目安に関する審議が実質的に結審しました。令和3(2021)年度の改定の目安は、全国加重平均額で28円の大幅な引き上げとなる模様です(地域別最低賃金額が時給で示されるようになった平成14(2002)年度以降で最大の引き上げ)。目安どおりに改定されると、令和3年度の地域別最低賃金額は、全国加重平均額で930円となります(現在は902円)。地域別(都道府県別)にみると、最も高い東京都が1,041円、最も低い県が820円となり、800円未満の地域がなくなることになります。
昨年度は、新型コロナの影響で雇用を守ることが最優先とされ、引き上げの目安は示されませんでした。今年度は、ワクチン接種がすすんでいること、経済指標の一部で回復がみられること、経営が厳しい企業には支援策が検討されていることなどを考慮して、このような目安を示したとされています。政府が「全国加重平均1,000円の早期実現をめざす」と表明していることが決め手になったのかもしれません。
また、引き上げの目安は、地域の経済実態などにあわせて、都道府県を4つのランクに分けて、都市部で高く、地方で低く金額が示されるケースが通常でしたが、今回は、地域間格差への配慮や、都市部で雇用情勢が悪化していることなどを踏まえ、全ランクで同じ金額が示されたようです。今後、中央最低賃金審議会において、目安について正式に答申などが行われ、最終的には、目安を参考にしつつ、各都道府県で地域別最低賃金額が決定されることになります(適用開始は令和3年10月頃から)
なお、大幅な引き上げの目安が示されたことについて、中小企業は激しく反発し、労働者側は大いに評価しています。代表的な団体のコメントを紹介しておきます。
●日本商工会議所
<地域別最低賃金額改定の目安に対するコメント>
https://www.jcci.or.jp/news/2021/0714161853.html
●日本労働組合総連合会
<2021年度地域別最低賃金額改定の目安に関する談話(事務局長談話)>
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/article_detail.php?id=1157